お嬢様、今夜も溺愛いたします。
──────────


「こちらがお嬢様のお部屋になります」


それからしばらくお屋敷の中を歩き、着いた部屋。


「うわぁ……」


本日2度目の感嘆の声。


あまりに広い部屋であるのにも驚いたけど、何よりも……


「壁もカーテンも、ベッドも……これ全て、花柄、ですか?」


レースがふんだんにあしらわれ、周りを薄いカーテンで囲んだような、天蓋付きのベッド。


アンティーク調の白い家具。


天井から下がる、無限にきらめきを放つシャンデリアの数々。


それの全てに花が散りばめられているのと、至る所にある花瓶に色とりどりの花が生けられている。

「ご実家が花屋さんということで、きっと花がお好きだろうと、旦那様が。お気に召されましたか?」


「はい、とっても」


こんなの、嬉しくないはずがない。

いくらおじいちゃんの頼みでも、最初はここに住むことに戸惑いがあったし、上手いように言いくるめられたと思っていたけど……


こんな素敵な部屋を見せられては、うんとしか言えなくなる。


完全に心が浮かれてる。


単純だなぁ、私……


嬉しくて、思わず頬が緩んでしまいそう……


そんなことを思っていた時。


「お嬢様はもちろん全てが誰よりも可愛いのですが、笑われると押し倒したいほど可愛いですね」


「………は?」
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