お嬢様、今夜も溺愛いたします。


お、押し倒したくなる?


え、な、なに今の爆弾発言……


何かの聞き間違いかな?


あまりに甘ったるい声に、ドキドキする……よりも思わず体がぶるりと震える。


こんな済ました顔の人からそんな訳の分からない発言が出るなんて、とてもじゃないけど思えないし……


てかそれよりも!!


「さっきから思ってたんですけど、いい加減下ろしてもらえませんか?それと、その……お嬢様っていう呼び方……私は普通の一般人ですし、村上で構わないんですが……」


おじいちゃんと別れてからも、ずっとお姫様抱っこのまま今に至る。


この部屋に来るまでに何人かのメイドさんたちとすれ違ったけど、なぜかみんな目がハート。


そりゃあ、こんなカッコイイ人に……なんて思うかもしれないけど、されてる方からしてみれば、恥ずかしい以外この上ない。


それにお嬢様って言うのも……


いくらおじいちゃんの孫とはいえ、気品があるとかおしとやかだとか、そんなキャラじゃないし……


くすぐったくてしょうがないから、正直言ってやめて欲しい……


「申し訳ございませんが、さすがのお嬢様の頼みでも受け入れられません」


「はっ!?」


どうして!?


バッと顔を上げれば、コスプレイケメンはふっと笑うだけ。


な、なにその笑みは!?


「ちょっとっ!?」


そしてジタバタ暴れる私をスルーして、スタスタと歩いていく。


「一体何する……って、きゃあっ!?」


ぽふっと音を立てて、優しく下ろされたそこは、とんでもないくらいふっかふかな所。


「あの一体どうし……」


展開が追いついて行けず起き上がろうとすれば、


「っ!?」
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