お嬢様、今夜も溺愛いたします。
「え……?」
どこか不機嫌な言い方にバッとおじいちゃんの方を向いた。
「黒木……十夜はもちろん、美都が高校生の間はだめじゃ。十夜が立派に一人前になって、美都も高校を卒業してからじゃ」
「……それならば、いいということですか?」
震える十夜さんの声に、口を尖らせてフンっと顔を背けるおじいちゃん。
「当たり前じゃ。
あんな小さい頃から変わらずわしの大事な孫を想ってくれてて、しかもわしを納得させるためにと最高峰の大学にまで入ってここまで来た。命がけで美都を守ってくれたのに反対するわけがなかろう」
「旦那様……っ」
「おじいちゃん……っ」
我慢しきれなかった涙が頬を伝った。
嬉しくて夢みたいに幸せで、十夜さんの方を見ると、みるみるうちに笑顔になって、ぎゅっと包み込むように抱きしめられた。
「これでやっと。
本当に美都のそばにいられる……っ」
その声は心から嬉しい、幸せだと叫んでいるようで。
負けじと私もその背中にぎゅっと抱きついた。