お嬢様、今夜も溺愛いたします。
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「もう時間も遅いですが、お食事はどうされますか?」

ベッドから降りた黒木さんは、まだ体を横にしている私に聞いてきた。


「うーん……胃もたれしたら嫌なので、今日はやめておきます」


時間を聞けば、もう9時近くだった。

どんだけ意識失ってたの………


「明日も学校はございますし、ご入浴だけはされますか?」


「はい。そうします……」


ベッドから降り、部屋のお風呂へと行こうとしてはたと気づく。


よくよく考えたら、汗だくの状態であんなことされたんだよね?


「っ〜!!」


「お、お嬢様?
どうされました?」


「い、いえ……なんでもないです」


せめて着替えてから……シャワーを浴びてからにして欲しかったっ!!


きっかけを作ったのは、完全に自分だけど……


「大丈夫ですよ、お嬢様」


「へっ?な、なにが………」


「お嬢様はいつもいい匂いですから、少しくらい汗をかかれていても、私は気にしませ………」


「私が気にするんですっ!!」


どうやら私の考えていたことが分かっていたみたいでクスクス笑う。


いい匂いってなんだ。

私、そんなフローラルな香りでも振り撒いているんだろうか……
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