お嬢様、今夜も溺愛いたします。
「まあまあ、気を取り直してさ!
今日は昨日も言ってた通り、食堂行こうぜ?」
「食堂って……あの、五つ星シェフのいるレストラン?」
こんなに沈んだ気持ちで行きたくない。
イケメンシェフの人がいるって話題のそこは、常にお嬢様たちで満席。
あんまり行きたくないんだけどなぁ……
「違うって!
うちの高校のじゃなくて、隣の星水学園大学の食堂!」
俺だってあんなとこ行きたくねーよとボヤく紗姫の言葉に、ガバッと起きあがる私。
「星水学園大学の、食堂……?」
「そうそう。3週間に1回、高校の生徒も使用できるシステムになっててさ、今日がその日なんだよ。良かったら、行ってみようぜ」
「へぇ、そんな日があるんだ……」
星水学園高校から、大学へエスカレーター式に進学する人も中にはいる。
そんな人たちのためにと、高校生向けに解放してくれてるらしい。
高校に隣接してるから、中庭を突っ切って行けばすぐに着くんだって。
「基本的に、お金持ちは一般家庭で出る様なご飯は食べないから行く人はほとんどいないけど、俺はよく行ってんだよね」
「そうなんだ?」
「ああ。俺の世話をしてくれてる人も黒木と同じ、星水学園大学に通う3年だから、美都が転校してくる前はよくお昼一緒に食ってた」
「えっ、紗姫の執事さんも大学に!?」
しかも、黒木さんと同じ学年………
これは驚いた。
「それでな?そいつのこと、紹介しようと思ったのと美都の気分転換も兼ねて今日は食堂にしたんだ。良かったか?」
「うん!全然いいよ!
私も会ってみたいし!」
紗姫の執事か………
一体どんな人だろう?
男らしいイケメン紗姫のことだから、もっとThe男!!ってタイプの人かも。
楽しみだなぁ……
もしかしたら、大学生姿の黒木さんも見られるかもしれないし。
落ち込みムードから一変、私の頭は紗姫の執事さんのことでいっぱいになった。