片思い終着駅


大学から2つ目の駅で降り、歩くこと10分。
路地にあるビルの5階に着いた。

そこは、美容室とは思えないくらい落ち着いた雰囲気の場所だった。

木製のドアを開けると、カランカランと鈴の音がなる。

「あっち〜」

中に入った瞬間、マスクを外したつばさくん。

「お客さん連れてくるだなんて、つばさどうしちゃったのよー!初めてじゃない?」

奥から明るい男の人の声がした。

「あっ、あの!つばさくんの紹介で来ました、岩佐ののかです!」

パタパタと靴の音がわたしに近付いてくる。

「あーら!可愛い女の子!つばさ、ナイスよ!」

姿を現したその男の人は、美容室さんとは思えない派手な格好。でも、とても似合っていた。

「わたし、ここのオーナーの牧田と申します。つばさには、まっさんって呼ばれてるわ♡」


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