片思い終着駅





「君、名前なんて言うの?かわいいね~!」

正門でたくさんのサークルが新入生を入部させようと勧誘しているなかに紛れ込んで、しつこく付きまとう男の人が3人。
高校生の頃にもこういうことが何回もあって、友人には「相手にしないのが1番だよ」と教えてくれ、当時はあっさり回避できていたものの、今回は違う。

イヤホンの音楽に集中してまっすっぐ歩き、聞こえない見えないフリをしていた。

「ねぇ、俺らの声聞こえてるんでしょ?無視しないでよ~!」

校内に入っても離れずついてくる3人。
わたしは気にせずに入学式の会場である、大ホールに向かう。

「あのさぁ、俺ら先輩だぜ?これから快適なスクールライフを送りたいなら、無視しないほうがいいんじゃないの?」

そう言って、わたしの耳からイヤホンをもぎ取り、スマホごと自販機の上に置かれてしまった。

自販機の高さは180㎝以上ある。
もちろん届かなし、スマホ自体見えない。

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