蘇らせ屋のボクとヒトゴロシのキミ
ドアを閉めると、原田さんと山本さんの歓声と泣き声が聞こえて来た。


僕はそれらを聞きながら玄関へ向かう。


「今日はもう帰るの?」


後ろからそう質問されて「もう役目は終わったからね」と、返事をした。


感動の再開の後僕らが出て行くことで水を差したくはなかった。


「せっかく両想いなのに……」


家を出て歩いたところで柚木さんはそう言い、鼻をすすった。


真理さんと山本さんは、今ようやく心が通じ合ったに違いない。


大切な人に祝福され、幸せを感じていることだろう。


だけど、それも数時間の内に終わる。


いくら両想いでも、祝福されても、蘇れる時間は限られているのだから。


そう思うと胸が痛んだ。
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