プロポーズは突然に。







───ある日の帰り道。



この日は日下さんにスーパーへ寄ってもらい買い物をしてから帰宅した。


でも、このマンションにスーパーの袋を下げて入る姿は違和感でしかないのだろう。


正面玄関に立っている警備員さんが、私に物珍しい顔を向けていたからそう思った。







最上階の部屋に着き、カードキーで鍵を開ける。


ドアを開けると感じる明るさ。そして綺麗に揃えられた革靴。


それを見て、今日は彼の方が先に帰宅したんだと理解する。


自分が帰る場所に誰かがいる。それは私にとってすごく未知なことで…


やっぱり慣れないんだ。




「おかえり」



羽織っていたロングカーディガンを脱ぎながらリビングに入る私に彼がそう言えば、



「…ただいま」



私はぎこちなくこう返す。



―――“おかえり”にも、まだ慣れない。
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