プロポーズは突然に。






彼と一緒に食事をすると、育ちの違いが身にしみて分かる。


お箸やスプーン、フォークの持ち方にしたって、料理の食べ方にしたって…その全てがすごく綺麗なんだ。


やっぱり…彼の所作の美しさからは目が離せない。



そんな私に気が付いたのかは定かではないが、彼はふと食事の手を止め顔を上げるとこちらに視線を向けてくる。


逆に私はというと、見ていたことを気付かれたと思い咄嗟に視線を料理へと落とした。





「あの短時間でこれだけ作れるのすごいな」

「んー、ローストビーフはスーパーで買ったやつだし。あとのはクックパッドで簡単そうなの見ながら作っただけ」




食材は全てスーパーで買ったもので拘りも何もないし、仕事の後で凝ったもの作る元気だってない。


お腹に入れば何だって一緒でしょ、って。それが庶民の私の考えなんだ。




「クックパッド?なんだそれ」

「知らないの?スマホでレシピ見れるやつ。悪いけど料理に時間かけるの嫌いだからこれが限界だよ。こんなのに手間隙かけるとか馬鹿らしいし」




今まで付き合ってきた人達なら、きっとここで文句の一つでも言っていたと思う。

でも―――再び顔を上げたとき彼は笑ってた。




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