プロポーズは突然に。
「…亡くなった母に、」
「え?」
いつの間にか全て運ばれていた料理を前に、彼は座りながらポツリと呟く。
「身に付けるものと、愛する人の為にお金を使いなさいって子供の頃から言われ続けてた」
「…」
「一流ブランドを背負ってる立場上、どうしても良いものを身に付けないといけないし、そこにお金を掛けるのは仕方がないって」
「…」
「だけど、お金を無駄に使うことは許さないような…そんな人だったから」
「…」
「俺はおまえに喜んでほしいだけなんだよ」
だからため息つくな、と続けた彼の表情は今まで見たこともないほど穏やかで…
あぁ、この人はちゃんと愛されて育った人なんだって。
私とは大違いなんだって。
そう痛感して…胸が苦しくなった。