プロポーズは突然に。
そのあとも、色んな男と肌を重ね続ける私は学校に行く度に笑い者にされた。
父親に捨てられた惨めな奴、とか、母親と一緒ですぐに股を開く女、なんて耳が痛くなるほど言われた言葉。
だけど、その程度のことは気にもならないほど大きな傷を抱えた私は傷付きもしないし、泣くこともしない。
そんなふてぶてしい態度なものだから味方なんて誰もいなくて完全に孤立していた。
そして、学校へ行かない日は決まって1冊の本を見ていた。
毎週渡される一万円の残りのお金で買ったそれを見ながら一日中家で勉強をする。
これも、この頃の“いつも通り”。
『赤はrosso、白はbianco…』
何の意味もないことだった。
私は、学校の勉強そっちのけで馬鹿みたいに何時間も何時間もイタリア語の勉強をしていたんだ。
もう、何年も会っていない父を想いながら。