プロポーズは突然に。
だから私は芽衣子に嘘をつき続けた。
“普通”の人間であるために。
弱い自分を守るために。
『え?桃華のお父さんって海外に住んでるの?』
『うん、前は日本で美容師をしてたんだけどね。今は向こうで美容の仕事を続けてる』
ほんの少しの真実と、
『じゃあ寂しいね、離れて暮らしてて』
『ううん、うち、離婚してて元々お母さんと二人だし』
『そうなの?』
『…うん。お母さんは私の為に毎日フルタイムで仕事頑張ってるバリバリのキャリアウーマンなんだ』
『へぇ~、かっこいい!』
見栄と、戯言と虚言をごちゃまぜにして並べて。
芽衣子には真実を知られたくなかった。
芽衣子にだけは同情されたくなかった。
だから芽衣子の前では、一生懸命に“普通の女の子“を演じていたんだ。
―――ちゃんと親に愛されている、“普通の女の子”を。
『はい、二万円ね。キミ、反応薄いけどなかなか良かったよ』
『…どうも』
高校では“普通の女の子“を演じ、外では汚い女になる。
それが壊れずに生きていく為に私が選んだ手段だった。