プロポーズは突然に。
『こういう色の口紅…今度買ってみようかな』
『この色は、強い女によく似合う。なんていうか、凛としてて背筋をピンと伸ばしてるような…そんな女』
『強い女…』
またポツリと呟いた彼女に視線を向けていると、ポケットに入れていた携帯が鳴った。
ディスプレイに表示された名前を見れば律で…そこで一気に現実に引き戻された気分になった。
電話に出れば、律がどこにいるのか聞いてきて、屋上にいるからすぐに戻る、とだけ伝えて電話を切った。
気が滅入らないようにここに来たんだった…そろそろ母のところに戻らないと。
そう思って立ち上がろうとしたとき、彼女が突然手を伸ばすのが視界に入る。
『髪に…葉っぱついてます』
そんな言葉と共に、風で飛んできたらしい葉を俺の髪から払い、
『髪…すごく綺麗ですね』
そして、そのあと小さくそう呟いていて、俺の髪にソッと触れた。
俺は基本的に女に触られるのが大嫌いなのに…
不思議と嫌ではなかった。