プロポーズは突然に。
そうこうしている内に、なかなか俺が戻らないからか律が屋上まで来た。
いつも笑顔の律は、やっぱり笑ってたけど俺に痺れを切らしたんだろう。
きっと怒っているんだと雰囲気ですぐに分かった。
面倒だからすぐに、悪い、とだけ伝えて今度こそ立ち上がった。
『弟が来たから…それじゃ』
『あ…ちょっと待って』
彼女に背を向けそう告げると、後ろから引き止められ、首だけで振り向く。
彼女に視線を落とせば、グーにした手を差し出していて…
それにつられるように体ごと振り向くと、手が開かれ、そこには飴が乗っていた。
『お礼です。雑誌見せてくれて、口紅のアドバイスくれたから…二つあるので弟さんにも』
そんな言葉を紡ぐ彼女に思わず笑ってしまった。
お礼が飴なんて健気だし、新鮮だったから。
後ろにいた律も、その飴のおかげでご機嫌になったしお礼を言ってそれを受け取り、その場を去った。