プロポーズは突然に。
それからまた何年か経ち、結婚しなくてはならない歳が近付いていた。
父と母は大恋愛の末に結婚したらしく、無理矢理相手を決めるようなことはしたくなかったらしい。
相手は自分で決めるようにと昔から言われていた。
だけど、俺の周りにいる女はどれも似たり寄ったりで…
選ぶ気にもなれなかった。
そんな俺を見兼ねた父が、候補の女性を決めてきた。
何の苦労もせずのうのうと生きてきた相手の女。
気持ちが悪い猫なで声で媚びてきて、上目遣いで甘えてきて、冷たい態度で接すればすぐに泣いて。
…こんな女と生きていかないといけないのか。
父には必ず理想の女性を見つけるからそれ以上縁談の話を進めないように、と、頭を下げてお願いした。
でも、そんな女いるはずもない。
どうにもできないけど、とにかく現実から目を逸らしたかった。
何の飾りもない、一人の人間として色々考えたかった。
だからあの日―――
いつも行く会員制のバーではなく、あのバーに足を運ぶことにしたんだ。