秘密の恋は1年後
休日の割に道路は渋滞がなく、吉祥寺の私の自宅を出てから駒沢公園の近隣にある彼の自宅マンションまでは四十分程度で到着した。
道中、彼は仕事のことや休みの日の過ごし方など、いろいろ話してくれた。
でも私の頭の中は、キスのことで埋め尽くされていて、生返事しか返せなかった。察した彼も、途中から口数が減り、車から降りた時にようやくまともに呼吸をしたような感覚さえあった。
「社長も、低層マンションにお住まいなんですね」
「好んでそうしたわけじゃないんだけど、公園が近かったり、立地が住宅街だと、そういう物件も多いんだよ」
「そうなんですね……」
不動産会社に勤めているけれど、専ら人事関係ばかりに携わり、現場やお客様とはあまり接する機会のないバックオフィスにいるからか、ほとんど言っていいほど知識は少ない。
いつか異動になるかもしれないし、宅建などの役立つような資格を取ったほうが良さそうだと思うようになったばかりだ。