秘密の恋は1年後
「今日から一緒に暮らすんだから、そんなに緊張しないで」
「し、してませんよ!?」
なんて言い返すものの、強がりもいいところ。
「そうなの? 意外だなぁ。俺はすっごく楽しみだし、ドキドキしてるけど」
「っ!?」
彼は私の右手を取って、自分の左胸にあてがった。
「ね? ちょっとドキドキしてるだろ?」
「……わかりませんっ」
彼は着やせするタイプなのか、ほどよく引き締まって隆起している胸板に触れてしまい、指先までドキドキして微かに震えてしまいそうになる。
「緊張してないなら、キスできる?」
言葉では普通を装うけれど、明らかに動揺している私をからかう彼が、今度は目の前に顔を寄せてきた。
「俺たち、付き合ってるんだから。これくらいしようよ」
何気ないひと言で、途端に切なくなった。
彼にとっては、キス〝くらい〟なのだ。私にとっては、とんでもない大ごとなのに。
「……しません。キスなんて、したくないです」
ショックを隠しきれず、俯く。
とても正面から見れなかったけれど、彼も少し戸惑った様子でいるのを感じた。