秘密の恋は1年後

「なっ……なお、とさんは、きゅうりが好きなんですか?」
「でも、お前が一番好き」
「そういうことをさらっと言わないでもらえませんか?」
「あははは。そんな反応されると、ますますいじめたくなるなぁ」

 手元に視線を落とし、俺をまともに見れなくなった彼女の耳元でそっと呟いた。


「もう! やめてくださいっ!! 私にとっては、全部が大ごとなんです!!」

 湯気が出そうなほど火照り、耳まで赤くした彼女が言い返してきた。


「なんで?」
「そ、それは、その……」

 消え入りそうな声で呟く彼女の手から、包丁を取ってまな板に置く。
 なにか言いたいことがあるなら聞くし、隠しごとは好きじゃない。問題は早々に解決したほうがいいだろう。

 今日から一緒に暮らすんだから、どんなに仕事が多忙でも、話し合う時間はいくらでも取るつもりだ。

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