秘密の恋は1年後
カップアイスの蓋を開けて、アイススプーンでチョコミントを食べながら考える。
どんな答えなら、信用してもらえるんだろう。好きなお前がいるから自宅に帰ってきたくなるんだって言ったつもりなのに、いまいち信憑性に欠けるらしい。
一定のペースでアイスクリームを食べる俺の左側から、じっと見つめ続けてくる彼女にもアイスを乗せたスプーンを差し出した。
「嫌いじゃなければ」
「…………」
戸惑いながらも口を寄せる彼女を見ていると、なんとしても攻略して自分色に染めたいと思いが湧きあがる。
彼女の唇に触れるか触れないかのところで、スプーンを遠ざけてみた。
「あっ」
意外だったのか、半端に開けた口はそのままに、俺が食べてしまったアイスの行方を追っている。
すぐにからかわれたと気づいた彼女は、子どものように頬を少し膨らませた。
「食べたかった?」
素直に頷いた彼女は、さらに俺がひと口食べるのを羨むように見つめる。
そろそろ甘やかしてやるかと、左側に座る彼女を流し見てから、不意を突いてキスをした。