秘密の恋は1年後
「あ、あと、今度うちに来ることになってるんだ」
「ここに?」
「結衣からポテサラを習いたいんだって。彼女、尽くしてくれるタイプなんじゃないか? 大事にしてやれよ」
「わかってる」
俺の自宅に来る様子は全然ないのに、兄貴の家には躊躇なく来るのかよ。
ますます嫌な予感が的中しそうで、だんまりを決め込む。
こんなこと、自分で解決するほかないからだ。
それから、結衣ちゃんが作ってくれた夕食をご馳走になり、半ば居候の身の俺に用意してくれた部屋にこもった。
夫婦二人暮らしで4LDKの間取りは、将来家族が増えることを見込んでのことだろうけど、今は俺のために空けてくれている。
いつまでもここに出入りするのは悪いと思っている反面、食事目当てで居ついてしまったのは否めない。でも、もしまひるが同棲してくれるなら、その頻度も大幅に減るだろう。
食事目当てではなく、彼女がいる場所に帰るのが当然だからだ。
まひるは、どう思っているんだろう。素直になれない自分が面倒で、深くため息をついた。