秘密の恋は1年後

「ただいま」
「おかえりなさい」

 二十時前。玄関から尚斗さんの声が聞こえた。
 リビングを出て駆け寄り、出迎えた私の頬になにげなく触れた彼は、親指で愛でるように撫でてくる。


「ど、どうしたんですか!?」
「ん? 別に」

 そう言いながらも優しい彼の表情を見て、またしてもきゅんとさせられてしまった。

 先に食事にすると言われ、彼が書斎に入っている間に支度をする。
 真っ白なスープ皿にロールキャベツ、柄の入ったオーバル型の皿にはズッキーニの肉詰め、ガラスが涼しげなサラダボウルにポテトサラダを盛り付けて、テーブルに並べた。


「お、美味そうじゃん」

 リビングに来た彼は冷蔵庫からビールを出し、ふたり分のグラスを用意して待ってくれている。


「いただきます」

 迷うことなくポテトサラダに箸を付けた彼の反応を待つ。
 結衣さん直伝、愛斗さんのお墨付きをもらったけれど、シンプルな料理ほどごまかしがきかない。

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