秘密の恋は1年後
「まだ眠いですか? ご飯できましたよ?」
「……なんかいい匂いする」
キッチンから連れてきたブランチの匂いに気づいていたらしく、薄掛けの中でもぞもぞと動いている。
「お腹空きませんか?」
「空いた」
ゆっくり顔を出した彼の首筋と鎖骨のラインが綺麗で、どうしても見惚れてしまった。
それにしても、今朝は寝癖がひどい。特に、前髪は前方に下弦を描いて跳ねていて、なんだかかわいいと思った。
休日の朝の彼に〝千堂社長〟の影はなく、完全に心を許してくれているようだ。
形のいい彼の額に、愛しさを込めて唇を寄せる。
チュッとキスをしてから、ゆっくり離れた。
「おはようございます、尚斗さん」
「うん、おはよ……」
驚いて目を丸くした彼に挨拶を返されたら、途端に恥ずかしくなってきて、スリッパの音を立ててリビングに小走りで逃げ込んだ。