秘密の恋は1年後

「話って?」

 ハイバックチェアに座った彼は、社長室にいる姿を彷彿とさせる。
 私はデスクを挟んで立ち、まっすぐに視線を返して言葉を選んだ。


「尚斗さんの言いたいことが、わからないわけではないんです。でも、現実的に今朝みたいなことは起こりうるので……」
「……だから?」

 うぅ、怖い。
 いつもの優しい彼は影をひそめ、冷たい瞳に晒されると言葉が詰まる。


「そんなに嫌でしたか?」

 問いかければ、返事代わりに片眉が持ち上がった。聞かなくとも分かるだろうと言いたげで、またしても口を噤みたくなる。
 でも、どんなに嫌がられても、他の男性社員と話さずに働けるはずはないし、彼がその場にいるかどうかを最優先してはいけないことだと思う。

 だけど、彼を突き放すつもりは微塵もなくて。

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