秘密の恋は1年後
書斎の木目のドアを二回ノックする。
返事がないので、相当機嫌を悪くしているのかと落胆し、視線を落とした。
だけど、話さなくちゃいけない。私の気持ちを言葉にしなくちゃ、これからも同じようなことを繰り返してしまいそうだもの。
「尚斗さん」
今度は彼に呼びかけてから、ノックをしようと軽く握った右手をかざした――その時。
「なに?」
尚斗さんがドアを大きく開けた。
だけど、ほぼ無表情で見下ろされると、整った顔立ちも相まってなかなかの迫力だ。
「……お話があります」
そういうと、普段は片付けの時にしか入らない彼の書斎に招き入れてくれた。
二人掛けの革張りのソファと、黒いシンプルなデスク。ハイバックチェアと向き合うようにノートパソコンが置かれ、壁には本棚が二架。
難しそうなビジネス書や辞書、ミステリー小説や純文学、洋書が並び、バスケットボールの少年漫画もある。