秘密の恋は1年後

「まひる、ビール出して」
「はーい」

 書斎を出た彼が、いつも通りの時間を戻した。

 きっと、彼なりに反省したのだろう。放っておいたら浮気されると身を以て経験したからこそ、今の彼がいるのかもしれない。
 だから、気を引こうとしたり、振り回してみたり……結局、不器用な彼なりの優しさだと気づいたら、心がほんのり温かくなった。





 ――八月。

 蝉の鳴き声に季節が急かされて、日々があっという間に過ぎていく。
 一日中気温が高く、日々の食事で力が付くように考えるようになった。尚斗さんに倒れられては困るのだ。


「うん、美味しい」
「本当ですか!? よかったぁ」

 初めて挑戦した牛もも肉のローストビーフを褒めてもらえたのと同時に、次々食べていく尚斗さんの様子を見ていて、体調の心配はなさそうだと安心する。

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