秘密の恋は1年後

「浮気をしたのも俺を振ったのも、彼女しかいないからな」

 後にも先にもいないと言ったのは、そういう意味だったのか。
 だとしても、彼に忘れられることなくいられて、あんな葉書まで堂々と送れる仲ではあるのだ。


「でも、羨ましいです」
「どこがだよ。いいか? よく考えてみろ」

 尚斗さんが、私を抱きしめていた腕を解いた。


「放っておかれて、デートは月に一度あればいい方だったし、同棲も断ったし、結婚する気はないって断言されたんだぞ? それのどこがいいんだ?」
「尚斗さんの記憶に残ってるじゃないですか」
「……バーカ。葉書が来るまですっかり忘れてたよ」
「っ!!」

 むにっと右頬を摘ままれ、不意を突いてキスをされた。

 尚斗さんの〝バーカ〟は、照れ隠しだ。
 昔の恋人との恋がいいものだったかどうかは、私がとやかく言えることではない。
 だけど、その頃の彼と今の尚斗さんは、きっと違う。

 今は、私を放っておいてくれない、優しくて甘い時間が大好きな人だもの。

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