秘密の恋は1年後
「これで猛暑は乗り切れそうですね」
「そうだな。ここまで毎日精がつくものを食べてたら、嫌でも元気になるよ。いろんな意味で」
「……いろんな意味で?」
「鮪と山芋の納豆和え、にら玉、ガーリックシュリンプ、あさりの炊き込みご飯、うな丼。最近、食べた料理は全部、そういう意味かと思ってた」
やっと意味を理解した私は、慌てて否定した。あくまでも彼の健康を気にかけてのことだったのだから。
だけど、彼は小さく笑うだけだった。
二十四時前、リビングの明かりを消した。
だけど、尚斗さんは持ち帰ってきた仕事があるようで、食後からずっと書斎にこもったまま。
「尚斗さん」
細く開いたままのドアの隙間から様子をうかがい、声をかけた。
黒縁眼鏡をかけて、デスクに向かっている彼は、顎を指で擦るようにして考え事をしている。