秘密の恋は1年後

「その社員のことだけど、正直言うと、うちでは活躍しにくい人間かもしれない」
「えっ!?」
「辞めたいなら、それを止める必要もないかもしれない」

 思い切りの良すぎる尚斗さんの答えに、度肝を抜かれた。
 おそらく、誰のことなのかもわかっていないのに、私の話だけで答えを導き出した決断力にも、同時に驚かされる。


「御門のような大企業は、人数も多いし業務分担もきっちりしてる。その分、自分でやりたいことも限られてくるし、やりたいなら成果を出して、周りや同期から頭ひとつふたつ出ないと無理だ。逆を返すと、それなりに仕事をしてれば、それなりの給料ももらえるし、波風のない平穏な日々が保証されてるようなものだよ」
「じゃあ、うちは……」
「それは、まひるだってわかってるだろ? 受け身じゃなくて、自分から率先して動ける自由な社風なんだから」

 能動的な働き方を尊重する自由な社風は、社員の満足度が高いとデータが取れている。
 だけど、その環境に身を置いてみて、初めて不向きだと感じている社員もいるのだ。

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