秘密の恋は1年後

 おそらく多くは、慣れるまで頑張ろうと踏ん張れる社員。自己研さんや資格取得など、様々なアプローチで解決できる場合があるからだ。それに、社歴を積む中で成長を実感できることが、なによりも自信になるだろう。

 だけど、そうじゃない者は、こうして悩んでしまう。
 じゃあ、彼を救うにはどうしたら……。


「この段階で人事に口出ししたくないし、お前との関係を勘ぐられても困るから、俺は黙っておく。でも、今回に限らず、これから先、本当に困ったことがあったら言いなさい。俺はすべての責任を取るためにいるから」
「はい、ありがとうございます」
「もし、その社員が他のベンチャー寄りの若い企業に転職するつもりでいるなら、うちに残るのもひとつだって話してみなさい。まぁ、とにかくもう一回、本人とよく話してみたらいいよ」
「そうしてみます」

 止まっていた食事の手を再び動かし、彼はシチューをおかわりしてくれた。

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