秘密の恋は1年後

 ――秋が過ぎゆくのは早く、十一月になった。

 尚斗さんとお付き合いをするようになってから始めた自分磨きは、手帳にびっしりと並んだ千堂印を見ると誇らしくなる。

 彼と出会って片想いをしていた頃は、できることを頑張ってばかりで、挑戦する気持ちがあまりなかった。
 なにごとも無難に、大きな失敗もなくこなして満足していたあの頃の私と比べたら、少しは変われたと思う。
 できなくてもいいから一歩踏み出すのが大切と分かっていたのにやらなかったのは、失敗するくらいならやらないほうがいいという考えが、頭のどこかにあったからだろう。

 日頃、尚斗さんと一緒に過ごすようになって、彼の仕事に対する考えに触れたのも大きい。
 それに、私を見つけてくれて、大切にしてもらえて、私も彼のために頑張りたいと思えたのが、原動力になった。


 そのお礼も兼ねて、今日は彼の誕生日を私なりに盛大にお祝いしようと企んでいるところ。

 十一月七日、土曜日。時間を気にせずお祝いできるなんて、タイミングは最高だ。
 一週間前から、国内を飛び回って出張に出ている彼は、今夜帰ってくる。

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