秘密の恋は1年後

 玄関ドアが開いて、スーツケースを置く音がした。


「ただいま。……まひる?」

 彼を迎える明かりがなく、真っ暗な室内に不思議に思っているのだろう。

 靴を脱ぐ音、廊下を歩く音、リビングに入る前に書斎に入る様子。
 いつもなら出迎えて、話しながら過ごすほんのひと時の音を、初めて聞いたかもしれない。
 そんな些細なことでも幸せを感じられるほど、私は大切にされてきたんだなぁ。


「まひる? 出かけてるのか?」

 リビングのドアを開けた彼に呼ばれても、まだ顔は出さない。


「あれ? なんか、すごい綺麗に飾られてる。……あぁ、写真か」

 キャンドルだけの明るさの中、壁に飾った写真を見つけてくれて、彼が背を向けて眺めている。


「お誕生日、おめでとうございまーす!!」
「うわっ!」

 用意していたクラッカーを鳴らして、私がキッチンから姿を現すと、彼はとっても驚いて固まってしまった。

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