秘密の恋は1年後

「それはそうと、ご結婚おめでとうございます」
「ありがとうございます。すみません、私事ですのに」
「いえいえ、おめでたいことですから」

 来年には優羽と式を挙げる予定で、千堂さんにも招待状をお送りするにあたり、報告を済ませていた。


「千堂さんは、ご結婚何年目ですか?」
「うちは三年目ですね。夏前に、弟がやっと自宅に帰ってくれて、せいせいしていたんです」
「……千堂社長が同居されていたんですか?」

 彼は駒沢に自宅があったはずで、毎朝車通勤していると聞いていたのに……。


「ずっとではないんですけどね。ひとりが寂しいのか、食事があるからなのか、社長職になってから頻発していたんです」
「なるほど。でも今はご夫婦で?」
「ええ。弟にも、どうやらいい人ができたようなので」
「……そうでしたか」

 千堂に、恋人? そんな気配はなかったが……。

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