秘密の恋は1年後
「すみません、年明けにはと思っていたのですが」
「……で、人事部のその子とは結婚するのか?」
「!!」
相手に目星は付いていないけど、かまをかけたら案外上手くいった。
そうか、人事部の社員か……。
「その予定でいます。まだ、彼女のご両親には挨拶できていないので、井浦社長にはそのあと正式にご挨拶をと思っていました」
「そうか。まぁ、いいよ、好きにして。でも……」
他の社員の目が気になり、彼に手招きをして互いに顔を幾分か近付けた。
「バレないようにしろよ?」
「はい、もちろんです」
「お前、見てると分かるからな。彼女をかわいがるのもほどほどに」
「っ!!」
千堂らしくないな、耳まで真っ赤にするなんて。
彼ほどの男を夢中にさせている相手を探るのは、これからの楽しみに取っておこう。
―fin―


