秘密の恋は1年後
「今日もいい天気でよかった」
「そ、そうですね」
美桜ちゃんといい、社長といい、私を驚かせるプロなのだろうか。
朝から何度も飛び上がった心臓が、今度は彼のせいでドキドキと鳴りだした。
グレーのスーツ、清潔感のある真っ白なYシャツ。目の覚めるようなブルーが綺麗なシルクのネクタイは、小花柄で爽やかだし、とてもお洒落だ。
にこーっと微笑む彼の、小さなほくろが印象的な左側の顔を見上げる。
本当に、この人が私の彼なの? 嘘でも冗談でもなく、こんなに素敵な人が私を選んでくれたの?
実際に本人を前にすると、やっぱりまだ夢心地にさせられる。
「今夜、どうしても外せない用があるんです。だから、晴れてくれてひと安心」
「……社長、お忙しそうですね」
その約束は、間違いなく私とのデートだ。
こんなところで言わなくてもいいのに、戸惑いながらも冷静に受け答えをする私をからかって楽しんでいる気がする。
「ええ、忙しいんです。心の中が特に」
ククっと小さく肩を揺らして笑った彼は、やっぱり意地悪な人だと思った。