秘密の恋は1年後

「お、おはよう……美桜ちゃん」
「なぁに? 挙動不審」
「びっくりさせないでよ」
「ごめん、ごめん。近々飲みに行こう! じゃあまたね!」
「うん!」

 姉には、まだ報告できそうにない。今夜、社長とちゃんと話してからじゃないと、信じきれないところもあるからだ。
 彼を信用していないわけではなく、〝なぜか彼に選ばれた〟という現実に気持ちが追いついていないので、今夜は状況の整理と今後のことを社長に説明してもらえる絶好の機会だろう。
 それからでも、姉に報告するのは遅くないと思う。


「……同棲かぁ」

 姉を前に報告する近い未来を想像していたら、ひとり言を呟いていた。


「おはよう、麻生さん」
「わっ!! ……お、おはようございます」

 グループ企業の社員が混ざり合う、エレベーターの列に並んでいたら、後ろから千堂社長に声をかけられて心底驚いた。

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