秘密の恋は1年後
新橋駅から東京駅までの山手線の車内は、帰宅ラッシュが始まったばかり。
上司の愚痴を漏らしているサラリーマンを横目に、私は人知れずこれからの時間と彼を想う。
片想いを続けられるだけでもいいと思っていたから、昨夜から今までの出来事がまるで他人事のようだったけど、こうして待ち合わせに向かっていると少なからず実感がわいてくる。
予定通り、十分前には到着できそうだ。スケジューラーを見た限り、今日も予定が詰まっている様子だった彼は、きっと時間ちょうどにやってくるだろう。
東京駅、丸の内中央口。
この界隈で働く人たちが波のように押し寄せる構内を上手く歩き、改札を抜けた。
「お疲れ様」
「えっ、社長……」
私が彼を迎えるつもりでいたのに、彼の方が先に着いていたらしい。