秘密の恋は1年後
――約束の日曜は、あっという間にやってきた。
駒沢の彼の自宅の最寄駅まで、電車を乗り継いで行こうと思っていたのに、私の自宅の場所も知っておきたいからと、彼が迎えに来てくれることになり、朝からドキドキが止まってくれない。
「社長と同棲かぁ……」
先日の初デートの夜から三日。
社内ですれ違うことがあっても、彼は私に見向きもしなかった。
日頃から多忙な人だとわかっていたけれど、彼は一瞬たりとも私と視線すら交わさず、秘書の沢村さんや同行している役員や社員と話している様子だった。
それ以外で、彼と勤務中に接することは皆無で、以前と変わりない時間を過ごした。
一階上の距離にいる彼に想いを馳せるのも、女子社員が口にする彼の評判を聞くのも、自分の仕事を日々全うするのも同じだった。
でも、朝と夜には必ず連絡をくれたし、今日の約束もあったから、本当に〝極秘の社内恋愛〟をしているのだと、ほんの少しは実感できた気がする。