秘密の恋は1年後

「あと、今週末から俺の家で暮らして」
「そんな急に!?」
「一緒にいる時間を作るには、それしかなさそうだからね」

 またしても、彼はストレートに心の内を明かす。


「ちなみに、社長のお住まいはどちらですか?」
「駒沢。兄貴のところみたいに緑があるし、暮らしやすいからきっと気に入ると思うよ」

 そう言われて、彼といられるならどこだっていいと思った。
 だけど、伝えられないまま飲み込む。
 彼のように思ったことを言葉にできたなら、もっと関係が進展するのだろう。
 でも、まだしばらくはこの状況に慣れるまで、大きな進展は願わないでおく方が賢明だと思った。


 美味しい食事をご馳走になり、店を出た。
 時刻は二十二時前。終電にもまだ余裕はあるのに、彼は駅前からタクシーを拾って私を乗せた。


「なにかあったら心配だから、乗っていきなさい」
「……はい」
「家に着いたら、連絡して」
「わかりました」
「じゃあ、おやすみ」

 後部座席に座った私の左手を取り、甲にそっとキスをした彼は、いつまでも私を見送ってくれていた。

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