秘密の恋は1年後

 約束の時間を五分ほど過ぎた頃、社長から到着の連絡が入った。
 私は荷物を持って玄関を出て、戸締りをしっかりと確かめてから、エレベーターで四階から降りた。


「おはよう」

 車から降りて寄りかかっていた社長は、マンションから出てきた私を見るなりにこっと微笑んでくれた。

 ……なんで社長って、こんなに素敵なの?
 私服姿の彼は、想像を超える魅力を放っていて、バッグを落としそうになった。
 朝から落ち着かないままでいる私の胸の奥を、彼はことあるごとにきゅんとさせる。


「お、おはようございますっ」

 五月中旬の、肌を冷やす風が心地いい。
 黒のテーパードパンツはアンクル丈で、社長の長い脚が強調されている。ビットが付いたドライビングシューズの足元にぴったりだ。白地に紺のボーダーカットソーに薄手のカーディガンを合わせた服装は、シンプルなのにものすごくお洒落に見える。
 彼のスタイルの良さがあってこそなんだろうけど……。

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