秘密の恋は1年後
「そういう格好も似合うね」
なにも言わずに、私の手から荷物を取って後部座席に置いてくれた彼が言う。
「ロングカーディガンも、デニムにミュールっていうのも、完全に俺好みだよ」
「あ、ありがとうございます。……いろいろと」
迎えに来てくれたり、荷物を積んでくれたり、昨夜からなにを着るか悩みに悩んで、結局いつもの休日スタイルに近い格好になってしまったのに、褒めてもらえたり。
勝手な流れではあったけれど、今となればお兄さん夫婦と知り合えたのも嬉しいこと。
とにかくありがたくて、思った通りに口にした。
「ん。じゃあ、お礼のキス、してくれる?」
「き、きき、キスっ!?」
隣に立つ彼が屈んで、身長差をあっさり埋めた。
左頬を差し出すように見せる彼は、私を流し見て微笑む。
「仕方ない、許してやるよ」
そういうと、逆に彼が私の右頬にキスをして、助手席のドアを開けた。