クールな社長の耽溺ジェラシー
「できあがりを想像してから施工に入ったほうがいい」
「それはわかりますけど……そのために、私は呼ばれたんですか?」
たいした話はしていなかったとはいえ、こんなに急いで連れてこられた意味がわからない。
「いや、このために呼んだわけじゃないけど」
「じゃあ、なんのためですか」
「……あんまり、いい雰囲気見せられると妬く」
そう言って、気まずそうに景色へ視線を向けた。
「や、妬くって……」
まさかヤキモチを妬かれるなんて思わなかった。
もしかして、さっき広瀬さんと話しているときに声をかけたのもヤキモチだろうか。
普段クールなのに、意外と情熱的だなんて反則だ。恋愛初心者の私じゃ、手に負えない。
「な、なんだ……てっきりまだ正司さんのこと嫌いなのかと思いました」
「まだ、って……もともと嫌いじゃない。いやだっただけだ」
「同じ意味な気がしますけど」
「でも……もういやでもない。小夏のおかげでだいぶ理解できるようになったし、あの一件があったから俺はいまこうしてデザイン事務所の社長として……小夏と一緒にいられる」
さっぱりした口調をあと押しするみたいに、爽やかな風が吹いた。
いつの間にか空は紺色に染まり、街灯や建物の明かりが点きはじめる。