クールな社長の耽溺ジェラシー
「急に悪かったな」
「いえ、模型はこちらに用意してます」
会議室で準備をしていると、ゲスト用のIDカードを首に下げた新野さんが入ってくる。
夕方ということもあり、ちょっと仕事を終えたような気だるさがあって色っぽい。
「ほかの現場見てて思いついたんだが……ここから当てるライト、こっちからだとどうかと思って」
新野さんが模型にライトを当てるので部屋の電気を消す。暗くなり、模型にだけライトが当たり、それを動かす新野さんの整った顔もほんのりと浮かびあがった。
「あ、いいですね。通りに面したところがさっきよりも明るく見えます」
明るすぎるのはよくないけれど、きれいな明るさは必要なことだ。
「じゃあ、それでいこう。これくらいの変更なら間に合うはずだ。悪いけど広瀬から業者とクライアントに連絡を入れてもらってくれ」
「わかりました」
管理部が絡んでいない今回の事業は、主に広瀬さんが連絡のやりとりをしてくれていた。
模型の明かりを頼りに、広瀬さんに伝えるために修正箇所をメモしていると、新野さんの視線を感じた。
「な、なんですか?」
意識しないと決めたのに、こんな風に見つめられると胸が勝手に高鳴りだしてしまう。
「いや。この前、別れ際……あんまり元気なかったから。ずっと気になってたんだ」