クールな社長の耽溺ジェラシー


「小夏」

とびきり甘い声で私を呼び、石像のように真顔を貫いていた表情がふわりと柔らかくゆるむ。

新野さんのそばにいた女性たちが目を丸くしているのが視界に入って、ちょっと優越感をおぼえた。

ずるい。笑顔ひとつで私をこんなにも嬉しくできるのは新野さんしかいない。

「お、お待たせしました」

すごすごと近づくと、女性ふたりは私を横目で見ながら去って行った。

絶対値踏みされた……いや、もういい、慣れた。

「さっき声かけられたんですか?」
「ああ。なんか飯行こうとか言われたんだっけ……あんまり聞いてない。人を待ってるって断ったんだけどな……なんだ、あの押しの強さは」

うんざりとばかりに肩を竦める。

そんないやそうな顔を彼女たちの前でもしていたら、もう少し早く解放されていた気もしたけど、私の前でだけ真顔を崩す新野さんが嬉しくてなにも言わなかった。


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