クールな社長の耽溺ジェラシー
≪焦らすつもりはないから。それじゃ≫
「はい。お疲れさまです」
いつだって私を気遣ってくれる新野さんとなら次のステップへ進むことは怖くなかった。
嬉しさと照れくささでゆるみそうになる頬を押さえていると、正司さんがやって来た。
「高塔さん、いま大丈夫かな?」
「は、はい」
まさにいま結果を聞いたばかりで、気まずさから思わず顔が強張ってしまう。それが伝わったのか、正司さんは申し訳なさそうに眉尻を垂れた。
「橋のライトアップ……ごめん、ダメだったよ。僕じゃ新野くんに敵わなかった」
「そんな……敵うとか、敵わないとかじゃないです。今回はダメだったかもしれませんけど、私は正司さんらしくて好きなデザインでした」
広瀬さんに見せてもらったCGは、シンプルで洗練された雰囲気があってとてもきれいだった。
まるで、新野さんの作品をマネる前みたいで。
「ありがとう。僕も初めて好きだと思えた作品だったよ。……だから、悔しいけど、スッキリしてる」
いままで背負ってきた荷物をすべておろせたような、晴れやかな顔つきの正司さんを見ていると、私まで爽やかな気持ちになった。
「私……嬉しかったです、すごく。正司さんが自分の作品をつくってくれて」
「そう。でも、僕らしさで勝負しても負けちゃったし、やっぱり僕は誰かの作品をもらったほうがいいのかな」
「そんなっ……!」
「冗談だよ。もうしない、そんなことは……絶対。オリジナルを生みだすほうが楽しいってわかったからね」
頬を引き締め、しっかりとした口調で私に誓ってくれた。