クールな社長の耽溺ジェラシー


「小夏、このあと予定は?」
「ないです、全然。……というか、いま誘おうと思ったんですけど」
「そうだったのか。悪いな、さきに誘った。どこか行きたいところでもあるのか?」
「いえ、そうじゃないんですけど……新野さんのお祝いをしたいな、って」

いつもご飯をごちそうしてもらってばかりだから、橋のライトアップが決まったお祝いも兼ねて日頃のお礼がしたかった。

「なにが食べたいですか? 今日はごちそうさせてください!」
「そう言われると困るな。小夏はなにが食べたいんだ?」
「私じゃなくて新野さんですよ!」

お礼をするのに、私が食べたい店に行っても意味がない。叱るように言い返すと、新野さんは困ったように眉を寄せた。

「いつもおいしいお店に案内してくれてたじゃないですか。ほかにもう一度行きたい御店とかないですか?」
「いつもは小夏が好きそうなのを基準にして、店選んでたから。いざ、聞かれると出てこないな」
「私が好きそうなって……」

すごく女性扱いされているのが伝わってきて嬉しかったけれど、高級なお店や夜景がきれいなお店じゃなくても、私は新野さんといられるだけで充分なのに。

「あ、そうだ! なら、今回は新野さんが好きそうなご飯を私が考えます」
「いいな、それ。頼むよ」

新野さんは私の提案に、楽しそうに声を弾ませた。そんな彼の手を取って、さっそく目的の場所へと向かいだす。

「で、どこに行くんだ?」
「そうですね……まずは、スーパーです!」
「スーパー?」

首をひねる新野さんを引っ張り、私は意気揚々と歩きだした。


< 140 / 172 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop