クールな社長の耽溺ジェラシー
ひとりきりでイルミネーションを見に行くなんて寂しい人と思われるだろうか。
なんて、心配していたけれど、最近はこういうところにもおひとり様は多いらしく、案外周りを気にせずに楽しめていた。
うん、人が多い。みんないい顔してる。
広瀬さんが設計した並木通りを気分よく歩いていると、バッグに入れていたスマホが震えた。
「えっ、夕……!」
画面に表示された名前に慌てて、手袋を脱ぐ。
こんなもの、つけるんじゃなかった! 早く電話に出れば、ワンコール鳴っている時間も夕と話ができたのに。
もどかしさに駆られながら電話に出ると、脱いだ手袋を片方だけ足元に落としてしまった。でも、もうそんなの気にしていられない――夕が一番だ。
「お、お疲れさま。終わったの?」
あまり嬉しそうな気配をさせないように気をつける。
いかにも待ってました、なんて声を出したら夕は私に気を遣うはずだ。
≪ああ、終わった。……遅くなって、悪かったよ≫
「ううん、全然。私ものんびりしてたし」
平気だと夕に伝えているようで、必死に自分へ言い聞かせているみたいだった。
夕の声が優しくて、胸が苦しい。……会いたい。いますぐ、会いたい。
≪……小夏、会いたい≫
「夕……」
私の心を代弁するみたいに電話口の夕が切なげにつぶやいた。