クールな社長の耽溺ジェラシー
≪俺が約束守れてないのに勝手だけど。……会いたい≫
「勝手じゃないよ」
夕に見えるわけでもないのに首を振る。勝手じゃない、私も同じ気持ちだから。
「……私も、会いたい」
この想いが伝わるように丁寧に言葉を紡ぐと、電話の向こうの夕が急に無言になった。
「ゆ、夕? ごめん、仕事で疲れてるのに……無理、だよね」
てっきりいまから会おうと言ってくれているのかと思ったけれど、勘違いしてしまったのだろうか。恥ずかしくて、慌ててフォローした。
≪悪い。小夏が好きだって再認識してた。それで、いまどこにいるんだ?≫
「え、い、いま?」
自分は平然と好きだと言って、私だけ動揺させるなんてなんかずるいな。会ったら、いっぱいドキドキさせようと密かに心に決める。
「まちなかライトアップのメインに来てる。すごいよ、人が多くて」
夕に話ながらぐるりとあたりを見渡していると、ひとりの男性が私に近づいてきた。その人は腰を屈めると、夕と話すのに夢中で足元に落としたままだった手袋を拾ってくれた。
「あ……っ、え?」
私に手渡してくれる人物の顔を見て、夕とまだ電話が繋がっているのも忘れて声をあげた。
「三柴(みしば)さん……!」
「久しぶり。ていうか、電話いいのか?」
彫りの深い顔をほころばせ、私が持っていたスマホを指差した。耳に当てたままだったそれに意識を向けると夕の怪訝な声が聞こえてきた。