クールな社長の耽溺ジェラシー
「……ほかを当たってくれませんか」
背後から肩を抱き寄せられ、一瞬心臓が止まるかと思った。添えられた手は温かく、声も耳馴染があってホッとするのに、胸は騒がしく音を立てはじめる。
夕がいる。そばに、会いたいと思った人がいる。そのことで頭はいっぱいになった。
「え、に、新野デザインの社長……!? って、高塔……ど、どういう関係?」
最近、夕が会社のためにメディアへ出ることが増えたということもあり、同じ業界で働いている三柴さんも夕のことを知っていた。
肩を抱かれている私と真顔の夕を交互に見て、目を瞬かせている。
「い、一緒にここを設計した関係です」
嘘じゃないのに、胸の奥がチクリと痛んだ。
本当は付き合っていると言いたい。
でも夕は業界では有名な人だから、私が彼女だと知られると迷惑がかかるかもしれない。
「それは知ってるよ。そうじゃなくて、肩……」
三柴さんは小声で言うと、ちらりと私の肩に置いた夕の手を見た。
「付き合ってます」
ちょっといつもより無愛想に見える真顔で夕が答えると、三柴さんは「マジで!?」と街中に響き渡るほどの声をあげた。