クールな社長の耽溺ジェラシー


それから三柴さんは「邪魔しちゃ悪いな」と足早に去り、夕とふたりきりになった。光と人で溢れるにぎやかなメイン会場なのに、私たちだけ無言で立ち尽くしていた。

「悪かったな……さっき、勝手に付き合ってるとか言って」

タイミングを見計らったように夕が口を開く。ざわざわと騒がしい中、その声だけはっきりと耳に届いた。

「ううん嬉しかったよ。……本当のこと話していいのか、迷ったから」
「なんで迷う?」

夕が私の手袋を脱いだままだった手を取り、指を絡める。恋人つなぎになると手袋なんていらないくらい温かくなった。

「いろいろと考えることがあるんです」
「なら、考えなくていい。俺が小夏を好きだってことだけ信じてくれたらいいよ」

握った手に優しく力を込められた。夕はいつも、私がわからない答えを簡単に導きだしてくれる。

「そんなの、前から信じてるよ」

夕と同じくらいの力で手を握り返すと、ふたりでゆっくりと歩きだした。夕方に観たニュースではアナウンサーが「カップルが多い」とレポートしていた。

コンセプトは見事形になり、さらに私たちもその多くいるカップルの内のひと組になった。


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